もっと簡単なやり方はないのか
時間とお金をかけるに値するか
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クライアント中心療法は、カウンセラーのアドバイスに従ってある特定の問題を解決するための方法ではなく、自己理解を深めることによってパーソナリティの変容を図る大きな試みですので、少なくとも、数か月単位での期間は必要となります。
そして、前回の面接で話したことをすっかり忘れてしまうくらい間が空いてしまうと、カウンセリングにおけるパーソナリティ変化のプロセスはなかなか進みません。
そうすると、週1回の頻度で、期間は3~6か月(13~26回)*1 くらいを一つの目安にしていただければと思います。もちろん、それよりも長くても短くてもかまいません。
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3~6か月というと、少し長いように思われるかもしれませんが、一般的にもっと短い期間で問題が解決できるようなイメージがある認知行動療法でも、実際にはそれ以上の期間や回数がかかることも稀ではありません。
たとえば、認知行動療法の専門家である伊藤絵美氏も、その著書『事例で学ぶ認知行動療法』*2 の中で、著者の経験に基づいて創作された「架空の事例」をいくつか紹介されています。
大うつ病性障害 13回 7か月
気分変調性障害 60回 3年10か月
複雑な気分障害 106回 6年1か月
〃 73回 5年6か月
パニック障害 11回 6か月
強迫性障害 8回 1年3か月
〃 7回 8か月
社会不安障害・対人恐怖
40回 3年4か月
〃 13回 1年
摂食障害 25回 1年1か月
〃 8回 6か月
境界性パーソナリティ障害
127回 5年4か月
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情熱と真心のカウンセリングは、このような精神疾患の治療を目的としたカウンセリングではありませんので、いつまで継続するかは、クライアントである、あなたのお気持ち次第です。あなた自身の心の探索と成長の旅にカウンセラーはどこまでも同伴します。
自分の人生における重要なテーマについて、心ゆくまで語り、自己理解を深め、自らの変化と成長を実感できたときが終結のタイミングだといえるかもしれません。
そして、この長い旅を終えたとき、その成果が、まさにプライスレス(お金には換算できないくらい大きな価値がある)と呼べるものであったとしても、成功報酬などは不要。
それが、このカウンセリングの魅力であり、醍醐味だろうと私は思います。
*1 「サイコセラピーにおける面接の回数と効果の関係」の研究によれば、8回の面接でクライアントの約50%に明らかな改善がみられ、26回の面接でクライアントの約75%に改善がみられたことが示されています。しかし、それ以上の回数を重ねても、そこから先の改善率の増加はごく緩やかなものとなっています。
文献:Howard, K. I., Kopta, S. M., Krause, M. S., & Orlinsky, D. E. (1986). The dose–effect relationship in psychotherapy. American Psychologist, 41(2), 159-164.
*2 文献:伊藤絵美.2008.『事例で学ぶ認知行動療法』誠信書房
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